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ニャアルラトホテプの化身、ネコ

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解説

人類が古代から猫に覚えてきた「不可解な愛らしさ」と「冷淡な残酷さ」は、単なる動物的習性ではなく、宇宙的な存在の気まぐれが地上に投影されたものだと囁かれる。その正体こそ「ニャアルラトホテプ(Nyarlathotep)」の数多の化身の一つ――〈猫の相〉である。
 この化身は、都市の路地裏や廃墟、あるいは王侯の宮殿にすら忍び込み、自在に姿を現す。黒猫の姿で現れることが多いが、毛並みや瞳の色は常に一定ではなく、観察者によって異なって見えることがある。
 研究者たちは畏怖と愛嬌を込めて、この化身を「ニャアルラトホテプ」と呼ぶ。だが、その呼び名を口にすること自体が、すでに猫の相の注意を惹きつける危険行為であるとも伝わる。
 猫は人に甘えるかのように這い寄り、油断を誘ったのち、夢の中に導き恐怖を植え付ける。あるいは、人間が気づかぬまま〈外なるもの〉の企みに協力させられる。
 猫はしばしば夢と現の境を行き来する存在とされるが、この化身はその特性を極限まで拡張しており、夢界を経由して人を「失われた都市」や「月の暗き裏側」に導く。

 この化身と長く接触した者は、次第に猫の仕草を真似るようになり、暗闇の中で光を反射する眼を持つとされる
 最終的には、夢から帰還できなくなり、「猫の王国」の住人の一員として消え去るという。

信仰

 古代エジプトにおける猫神信仰の一部は、実際にはこの化身への無意識的な奉仕だったとする説もある。祀られた偶像の瞳は、夜ごとにわずかに動き、彼を崇拝する者の魂を観察していた。

 

化身としてのスフィンクス

 スフィンクスの人面獣身の姿は、まさにニャルラトホテプの本質──「人間に理解可能な仮面」と「人知を超えた異質さ」の混成を体現している。
 スフィンクスは「謎を問うもの」であり、その問いは常に人間理性の限界を突き、答えられぬ者を滅ぼす。これは、ニャルラトホテプが人類に試練と混乱をもたらす性質の一端である。
 スフィンクスはライオン=猫を基盤とする存在であるとされるが、都市の猫は「縮小されたスフィンクス」といえる。猫は人間に馴染みながらも常に不可解で、夜の王国と夢の回廊を往来する媒介者であり、スフィンクス的権能を小規模に行使するのだ。

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